2012年2月10日金曜日

中根千枝, 1977, 『家族を中心とした人間関係』講談社学術文庫.

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中根千枝, 1977, 『家族を中心とした人間関係』講談社学術文庫.

古くなった感はあるが、日本人論の古典。

助成に関する記述は中根の時代より大きく前進した気がする。
しかし、まだまだ課題も大きい。

日本の「ウチ」について。
「家族のソトは「トナリ」であり「シンルイ」であって、「家(ウチ)」とは質的に異なりま|す。ここにウチとソトの明確な一線がひかれています。さらに「トナリ」や「クミ」はムラのなかでサブ・グループを構成しますから、その集団が機能の高いばあいには、一般のムラの人に対して、それがウチになります。さらに一つのムラは他のムラに対してウチということになります。こうして、ウチとソトの関係は段階的に認識されています。それぞれの段階でウチは明確な集団として閉鎖性をもつということになります。したがって、ムラは二段階のウチの集合体となります」(150-151)

「日本の家は、むしろベースキャンプとしての働きを顕著にもっています。家族成員がそれぞれの活動にでかけるための根拠地としての役目ですから、ソトの人との接触はそれぞれの活動の場でするということになります。ベースキャンプはつねに留守番が要るように、母(妻)がその役に当っています。ベースキャンプはその成員の活動が活発であればあるほど、|みんな出はらっているときが多くなります」「このことが既婚婦人の社会的進出を阻む大きな要因となっていることはいうまでもありません」(160-161)

「日本の家族の特殊性は、全体の論述をとおしても浮かびあがってきますが、とくに最終章で考察したように、その孤立性に求められます。実はこの集団の孤立性こそが、さきに私が分析・理論化した「タテ社会」の母体になっています」(167)

それにしても、日本の外で読む日本人論は大変面白いなあ、とベトナムで打っていて思う。

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