Brinton, Mary C.(2008):池村千秋訳『失われた場を探して ロストジェネレーションの社会学』、NTT出版、2008。
・日本の若者の中で最も就職状況が厳しいのは普通高校低偏差値校であることを実証した本。アメリカでは職探しの際「ウィークタイズ」(グラノベッター)が強いが、日本では「ストロングタイズ」によって探すことが多い。
・高校の就職先あっせんのシステムが動かなくなり(普通高校。工業高校や商業高校はまだ口が見つかりやすい)、自ら高校生が動く必要が出て来る。
・かつては「場」が物をいった日本社会だが、だんだん場が衰退しており、アメリカ同様「資格」中心に動くようになってきた(95)。かつては学校や会社が「場」(男性の場合。女性は家庭であるという)の働きを持ち、なんらかの安定した場の一員であることが決定的に重要な意味を持っていた。「しかし今日の若者にとって、そうした「場」は減りはじめている。社会におけるアイデンティティーを学校と職場から得られない若者が増えているのだ」(99)。
「正社員にならない若者が増えていることに関して日本の政府とマスコミは若者の姿勢を批判するが、重要なことを見落としがちだ。その重要な側面とは、この章で指摘してきたように、高校の序列がはっきりわかれていて、求人の数に高校によって大きな格差があるという現実である」(143)。
「かつて日本人にとって、幸福や安心の源泉であった、企業や学校という場に所属する機会は、ロスジェネにとって、大きく失われてしまった。なかでも、偏差値レベルのそう高くない高校を卒業した後、大学に進学しなかった男性ほど、「場」を失って彷徨い続けているのだ」(240頁の玄田有史の解説)。
2010年12月6日月曜日
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